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■ボードリヤール死去   mercredi 7 mars 07 [■追悼]

Le sociologue et philosophe français de renommée internationale, Jean Baudrillard, est décédé mardi à Paris, à l'âge de 77 ans.

ジャン・ボードリヤールが亡くなった。
ボードリヤールが日本で急速に注目されたのは1980年代初頭である。ボードリヤールの物象化された記号の消費という消費社会論は1980年代の日本の現状を分析するのに格好のテキストだった。欲望の充足という物の消費でなく、差異表示記号としての消費の概念は、廣松渉さんのいう、それまでの高度経済成長期日本の「もの」を基本とする思考から、「こと」へと価値が転換していく、「完成された消費社会・日本」の分析そのものだった。68年に書かれた『物の体系』にしろ70年の『消費社会の神話と構造』にしろ、そこに書かれているのは1980年代の消費社会日本の姿だった。

しかし、消費の分析から発展させるべき労働論や暴力論に関してはあまり同意できなかったのも事実である。とくに『記号の経済学批判』はそうであった。


何度も来日しており、最近も2003年10月9日、早稲田の大隈小講堂で「グローバリゼーションと暴力」を講演している。そこでは9.11テロを俎上に上し、出来事と思想のシンクロ性を語り、そして疎外された主体を抜きにした思想的行為を示していた。

1981年に来日したことはそれ自体が事件になっていた。当時池袋西武8階にあったスタジオ200/Studio200で、「ボードリヤール・フォーラム東京’81 “象徴交換とシミュレーションの時代”」と題され、10月10日、11日、13日の3日間講演、パネル討論、シンポジウムが行われたのだ。1977年のミシェル・フーコー、80年のフェリックス・ガタリが東大あるいは日仏学院で講演をしたのに較べ、ボードリヤールは日本の消費社会の象徴であった西武百貨店が会場を提供していたのだ。因みにパンフレットは、ミレーの『晩鐘』の農夫の背景に世界貿易センタービルが立っているという、振り返ってみれば極めて暗示的なものだった。(当初デザイン関係の方が翻訳しているものがあり、専門領域外の人の誤訳に辟易したものだ)


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