■観世九皐会九月例会「敦盛」「一角仙人」 dimanche 10 sept.06 [■能狂言]
矢来能楽堂 観世九皐会九月例会。
能「敦盛」(シテ・古川充、ワキ・宝生欣哉)、「一角仙人」(シテ・長山禮三郎、施陀夫人・長山耕三)。狂言「隠狸」
「敦盛」は16歳で一の谷で討ち死にした敦盛への憐憫と、熊谷直実が出家したことを賞賛するという二つの主題がある。そして終局には、戦乱世の悲惨を昇華して美と信仰に達するという作品。たんに「源平盛衰記」「平家物語」だけでは余りに忍びないのであるが、舞いをもって幽玄の境地に入ることができる。
「一角仙人」はインド渡来の仏典が原典である。「遊楽物」という範疇になるのだが、これはもうドタバタ物である。鹿の胎内から生まれた一角仙人の神通力で、龍神が岩屋に閉じ込められ旱魃になってしまったのを解消するために、施陀夫人という美女(淫女とも)を遣わし一角仙人を酔い潰して神通力を奪ってしまうという話だ。
どうしてこのような番組が古来から伝承されてきたのか、作者・金春禅鳳の特異な立場に想いを馳せないわけには行かない。
龍神を舞った子方の二人は息があって清々しい涼風の如くであった。矢来観世九皐会は重鎮、中堅の充実が言われるが、子方も確実に成長されているようだ。
で、終演後は例によって神楽坂で御酒。本日は毘沙門天の秋祭り。これは子供神輿。
神楽坂は都内でもいい飲み屋が多いのだが、どうも最近は本当にそう言えるのか少し迷っている。どこも創作料理風の小洒落た処ばかりで、<泥味亭>や<伊勢藤>のような頑固な店の比率が下がっている。それは客にも問題があるわけで、日本酒を飲む客が少なくなっているからだ。日本酒を飲まなければ肴の旨さは分からないし、酎ハイやジュースのようなものを好んで飲んでいたら、油やバター過多の料理でも平気になってしまう。
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