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観世九皐会三月例会  dimanche 9 mars 2003 [■能狂言]

矢来能楽堂3月定例会。
能「兼平」(シテ・鈴木啓吾)、「千手」(シテ・長沼範夫)、「熊坂」(シテ・永島忠侈)。
狂言が「土筆」

「兼平」は今井四郎兼平の物語る最後の舞が躍動的であった。
「千手」の題材はある意味で現代的で、千手の前の自我がどう描かれるかに興味があったのだが興醒めな結果となった。千住の前を演じる長沼範夫さんの体躯が立派すぎ、襟元が乱れ、手を伸ばすにも袖丈が短く、ツンツルテンの安っぽいものとなっていた(本当は高価な衣裳であるはずなのに)。また、須磨で生捕られて鎌倉に幽閉されている平重衡はこの時28歳である。重衡役の坂真次郎さんは聊か薹が立ち過ぎか。更に、急の段、「はやきぬぎぬに引き離るる袖と袖との露涙」、一瞬の触れ合いにするか、濃厚な交錯にするか演出の見所であり、「千手」の最も盛り上がる場面である。ところがここで興醒めは、千手の前の方が頭一つ大きい。これでは抽象演劇である能と雖も身体が所与として空間を無残にしてしまっている。身体をギリギリに削り取り「身体性」だけに捨象すべきものであるからこそ、「余計」なものとしての身体の桎梏が際立ってしまうのだ。残酷としか言いようがない。

「土筆」は笑ってしまった。これぞ「現代的」な揚げ足取り。 で、最初の言い間違いで笑うシッタカブリのおばちゃんは退場だ!


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