三宅芳夫『知識人と社会』 13 mai 2000 [■Livre]
白水社の『ふらんす』で澤田直氏が「新しい世紀の中のサルトル」という連載をはじめたが、ほかにもサルトルを見なおす仕事が散見される。勿論、没後20年ということでフランスでも研究されているが、日本の若い研究者も時代的束縛から解放されており、全共闘世代の研究者とは異なるアプローチのし方が出来ている。
とはいえ、ジェイムソン『サルトル 回帰する唯物論』を翻訳した三宅芳夫氏が上梓した、『知識人と社会』(岩波書店)はサルトルのアナーキズム、自由の概念を分析のキーワードにしている。詳細は別項に譲りたいが、三宅氏が4つに分類しているサルトルにおける自由の概念の変遷は、海老坂武さんの説明と同じ区分である。海老坂さんの分析は論文の形になってないが、形而上学的自由の概念、戦後まもなくの解放の自由論(革命的民主連合)、ソ連と同伴的関係にあった時代の自由論、そして5月革命以降の自由の概念と分類されており、その類似点は多い。
澤田氏のエセーでも言及されているのだが、サルトル批判としてハイデガーの誤読ということがたびたび言われているが、サルトルは自己の哲学形成のためには誤読、ズラす権利があるのだ。サルトルは哲学史家でもハイデガー研究者でもない。況してやハイデガー哲学の背後にある、アーリア人優越思想の範の中にあるわけでもない。
2000-05-13 23:37
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