■「科学技術リスクと社会」 samedi 21 juillet 2012 [■vie]
朝日カルチャーセンター「放射線を知る」
「科学技術リスクと社会・福島第一原発事故・放射線リスク問題を通して考える」
谷口武俊・東京大学政策ビジョン研究センター教授
●リスクの定義
●合成・創造の時代に入った科学技術と社会顕在化しつつあるリスク
科学に基礎をおいた現代技術高度技術によって切り開かれる現代科学、技術-科学の相互作用の短サイクル化
↓
グローバル化する社会→高度科学技術に左右される社会の諸活動
複雑化する社会→複雑な利害関係者の存在、科学技術の開発技術に関わる意思決定の政治問題化
↑
一般市民の通念は、科学技術は何か新しいものを発見発明をしてくれ社会の進歩に貢献するという期待
●システミックリスク、新興・再興リスクの顕在化
システム全体に対する潜在的な損失損害
●科学技術を考える
科学技術は、科学的知識に関する不確実性と技術の利用形態に関する不確実性という二重の不確実性を有している
科学技術は多様な社会的含意を持つ
●俯瞰的な思考
全体的な思考が必要
リスクと便益の比較 →倫理の問題が生ずる
●科学技術の評価で重視すること
原発でいえば、市民はその技術で何が起こるか予測できるかを考えているが、科学者はその科学が社会にとって必要かを考える
●トランス・サイエンス問題→科学と政治の交錯する領域
「科学によって問うことはできるが、科学によって答えることのできない問題群からなる領域」
原子力⇒科学それ自体は倫理性とは関係のないところにあり、それを使うのは政治の問題である
「運転中の原子力発電所の安全装置がすべて同時に故障した場合、深刻な事故が生じる」
→科学が問い科学が応えられる
「すべての安全装置が同時に故障することがあるかどうか」「それに事前に対応しておく必要があるかどうか」
→トランス・サイエンスの問い
科学は価値判断する能力がない。
●リスク情報の社会的増幅・減衰現象
認知的不協和→自分かよいと考える情報のみ正しい情報だと解釈してしまう。(→この問題は面白い)
●専門家がもたらすリスク不安
●専門家の曖昧な表現
●不安の背後にあるもの
●リスクコミュニケーション
●対象を認知する仕組み
●リスク認知とリスク削減要求
●科学的リスクアセスメント重視と心理的構成重視それぞれの立場のリスク認知観
●素人のリスク認知バイアス
自分個人のリスクは低くとらえる
●科学的判断における専門家のバイアス
規則性を見出そうとする
あいまいな証拠をある傾向に合わせようとする傾向
専門家は自信過剰
●マス・コミュニケーションの定義
●一般の人々との隔たり意識と情報提供機会の関係
●リスクコミュニケーションの実践
●手続き的公平性の視点
●リスク・メッセージのチェックリスト
●リスクメッセージ:社会統計データに接したら
人々の関心をある問題に惹きつける、あるいはその問題から関心を逸らす、また人々の懸念を高める、
あるいは打ち消すために統計は武器として多用される
・意識しておくべき問題点
多くの人は疑いもせず統計を受け入れる
間違った統計は生き続け、独り歩きし、ナンバーロンダリングがおこる
人々は普通、統計を事実として扱ってしまう
・統計への基本的問いかけ
だれがこの統計を作ったか
この統計はなぜつくられたか
この統計はどのように作られたか
●リスク比較
参考
谷口武俊 『リスク意思決定論』 大阪大学出版会 2008
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