■戸塚洋二『がんと闘った科学者の記録』 dimanche 5 mars 2011 [■Livre]
戸塚洋二・著 立花隆・編 『がんと闘った科学者の記録』(文藝春秋 2009)読了
大腸がんの再々発以降、職を辞し闘病生活を続けた戸塚洋二氏のブログの記録である。戸塚さんはニュートリノに質量があることを発見した日本で一番ノーベル賞に近い科学者と言われることが多かったが、我々はそれ以前にひとりの人間としてこの記録に対峙することが必要だろう。自らのがんの転移を科学的に分析する冷徹さを取り上げるより、刹那的な狂気に奔らず常に自らを分析対象と認識するその主体としてみた場合の人間性をみるべきだ。
書物の著者、第三者としてしかみられない我々読者は、戸塚さんの傍らにいらしたご家族の方の「二人称」としての死が如何ばかりであったか慮る時、戸塚さんが痛みや恐怖を書き連ねなかったという事実に慰められる。
感情に流されず友愛に満ちた受け答えで対談をする立花さんの胸中を察するに、職業の裏にみられる人間の尊厳を重んじる立場を厳守しようとする熱い思いを見る思いだ。(立花さんは熱く号泣したんだろうなあ)
大腸がんの再々発以降、職を辞し闘病生活を続けた戸塚洋二氏のブログの記録である。戸塚さんはニュートリノに質量があることを発見した日本で一番ノーベル賞に近い科学者と言われることが多かったが、我々はそれ以前にひとりの人間としてこの記録に対峙することが必要だろう。自らのがんの転移を科学的に分析する冷徹さを取り上げるより、刹那的な狂気に奔らず常に自らを分析対象と認識するその主体としてみた場合の人間性をみるべきだ。
書物の著者、第三者としてしかみられない我々読者は、戸塚さんの傍らにいらしたご家族の方の「二人称」としての死が如何ばかりであったか慮る時、戸塚さんが痛みや恐怖を書き連ねなかったという事実に慰められる。
感情に流されず友愛に満ちた受け答えで対談をする立花さんの胸中を察するに、職業の裏にみられる人間の尊厳を重んじる立場を厳守しようとする熱い思いを見る思いだ。(立花さんは熱く号泣したんだろうなあ)
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