●「マタイ受難曲」 samedi 20 mars 2010 [■Cinéma et Musique]
初台の東京オペラシティ:タケミツメモリアルに、今年初めての「マタイ受難曲」を聴きに行く。
バリトン:イエス・三原剛、テノール:福音史家・谷口洋介(BCJ)、
ソプラノ:アリア・鈴木美紀子、メゾ・ソプラノ:アリア・波多野睦美。
管弦楽・東京バッハ・カンタータ・アンサンブル
「マタイ受難曲」は聴くたびに感動が湧く。第一の弟子であるペテロがイエスとの関係を否認したことを悔い、外に出て涙する38曲の終りから、独奏ヴァイオリンと通奏低音ピチカートで始まる39曲。マタイ受難曲全体の中でも有名なアリアの部分は何度聴いても絞めつけられるアリアである。
Erbarme dich,mein Gott, 憐れみたまえ わが神よ
Um meiner Zahren willen! いたたり落つるわが涙のゆえに!
Schaue hier,Herz und Auge こを見たまえ、心も涙も
Weint vor dir bitterlich. 汝の御前にいたく泣くなり
Erbarme dich,erbarme dich! 憐れみたまえ 憐れみたまえ!
独りペテロの悲しみでなく、裏切られるイエスの悲しみであり、人間存在の大悲が美しいヴァイオリンの旋律のなかで屹立してくる。
イエスの復活の曲でもあるが、取り返しのつかない絶望感のなかで生きねばならない監獄の認識でもある。
できれば、鯨のような優雅で頑健な肉体をもち、西も東もない海を泳ぎたい 武満徹
鳴海真希子さんのアリア。
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