●「1万回の体当たり」 lundi 22 fev,2010 [■ラグビー]
「1万回の体当たり――タックルマン石塚武生 炎のメッセージ」
大元(たいげん)よしき・著 ウェッジ・刊
昨年急逝した、早稲田・日本代表キャプテン石塚武生さんの現役・早稲田監督時代の挫折から、常総学院監督としての熱いメッセージを、著者大元よしきさんが丁寧にまとめてくれている。まだまだその死が重く、購入後数日間放置してあったのだが、やはりどうしようもなく、遣る瀬無く辛い著作だった。
早稲田監督、イギリス時代が険しいものだとは、『炎のタックルマン』(ベースボール・マガジン社)でも読み取れるが、常総学院の監督となって、苦悩と孤独から、言ってみれば<新生>なった石塚さんの現在に光明が兆し始めていたのに、この不条理はどう受け留めたらよいのだろう。
苦難に遭うとき、第三者を排除し自分のみに責を求めた絶対的な孤独が如何ばかりであったことか。その絶望の深淵を多少とも伺うと締め付けられる思いがする(ただラグビーがあって、大元さん、そして上田昭夫さんがいてくれ、石塚さんの遺志を分かち持っていることに感謝する)。
石塚さんの死が突然なものでなく、心筋梗塞の兆候があったことが明らかになっているが、どうにもできなかったことが返す返すも残念だし、石塚さんの死への恐怖を思うと、居た堪れなくなる。
全国の学校にタグラグビーの指導に行っている話が出てくる。私の郷里、外房の小学校や中学校に来てくれたらどんなに楽しいだろうか、お願いしてみようかと考えてしまった。刹那、石塚さんの不在を失念したことが情けなかった、クソ。
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