■渡辺白泉 lundi 15 sept 08 [■vie]
NHKBS「日本ナンダコリャこれくしょん 今度は俳句だ!」を観る。
五七五の定型に当て嵌まらなかったり、恰も突拍子も無い題で詠んで俳句の範疇を逸脱しているようにみえる作品を持ち寄り、合評するというもので、期待に違わぬ面白いものが集っていた。
西東三鬼 (さいとうさんき)
「露人ワシコフ叫びて石榴打ち落とす」
とともに、出演者の<ナンダコリャ>度が高かったのが、
渡辺白泉 (わたなべはくせん)
「戦争が廊下の奥に立つてゐた」
ファシズムの嵐は生活のすべてを戦時体制へと構築していく。この俳句が作られる1939年(昭和14年)までに、経済体制だけでなく言論統制も強化され、国民精神総動員運動の開始、反ファシズム運動の弾圧(人民戦線事件)、国家総動員法成立など重層的に思想統制が行なわれた。白泉の俳句では家の中にいつの間にか戦争の気配が入り込んで、佇立でもしているかのように理解されそうだが、ファシズムの軍靴は暴力として日本を全面戦争へ進めていったのだ。(宗匠の金子兜太さんが白泉に直接聞いたところでは、「戦争」とは憲兵のことであるそうだ。講演の会場に憲兵が乗り込み、軍国主義批判に対し聞き耳を立て、言論を封殺していたのだ)
「憲兵の前で滑つて転んぢやつた」
「銃後といふ不思議な町を丘で見た」
2008-09-15 23:26
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