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■家永三郎さん逝去   lundi 2 dec.2002 [■追悼]

家永三郎さんが11月29日心不全で死去した。享年89。
三次に渡る教科書検定訴訟をとおして、戦後文部省の右傾教育を批判、阻止し続けた。1965年第一次訴訟は、62年度検定で高校教科書「新日本史」が不合格となり、翌年度検定で条件付合格となったことの損害賠償訴訟。67年第二次訴訟は検定不合格処分取り消し要求。この二次に渡る訴訟は敗訴したものの、「南京大虐殺」「731部隊」「侵略」の記述を削除するよう求めた80年度、83年度検定が違憲・違法だとしておこした84年の第三次訴訟は、1997年の最高裁判決が検定は合憲だとしながらも、記述削除を求めた文部省を「裁量権逸脱で違憲」と判断した。

『太平洋戦争』(岩波書店 1986年)、『戦争責任』(岩波書店 1985年)の2冊は、「戦争の惨禍」という現実から逃避している日本政府・右翼の無責任性を糾弾する戦争責任論の基本的文献だといえるだろう。今年になってから山田朗氏が天皇の統帥権について書いた『昭和天皇の軍事思想と戦略』(校倉書房)という立派な本が出版されたが、家永さんの『戦争責任』が多角的な論点から倫理的責任を体系的且つ具体的に追及していることに於いて重要性が失われることではない。井上清、大江志乃夫、藤原彰各氏の著書とともに重要な文献であり続ける。


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