田中希代子さん mardi 5 sept.2000 [■追悼]
調べものをしていたら偶然、本当に偶然、田中希代子さんの記事を見つけた。1959年の雑誌『日本』に「近況」(!)が出ていた。
田中希代子さんが亡くなられたのは96年の2月だった。そのあとユリ子さん(黒沼ユリ子さん)に、田中さんのことを聞いたことがある。当時海外に出たばかりで何ごとも不案内のヴァイオリンのユリ子さんに、ピアノの田中さんは「お姉さん」のように、色々教えてくれたのだと、懐かしげに語ってくれた。2人とも戦後まもなく場所を海外に求め成功した。ただ、田中さんは1970年を前に病魔に襲われた。
「日本」の編集者はかなり田中さんの才能に猜疑的な文章を書いている。勿論、20代前半のピアニストをその様に書くのは当り前なのだろうが、あまりに敵意が表出した文章で嫌悪を催させる。ただ、そのあとの田中さんのベートーベンやラフマニノフを聞けばその指摘が誤てるものであったことが分かる。
インタヴューは寡黙で成立していないが、それが彼女の繊細さを仄見せる。当時(羽田に帰った、翌日)、うまくない、嫌なインタヴューだから彼女のことがいろいろよくみえてくる。
しかし、やはり、できるものなら晩年の演奏を聴いてみたかった。ただ、写真は戦闘的で、亡くなったあと出されたCDより魅力的だ。ご冥福を祈るとともに、今でも田中希代子というピアニストを記憶しているものがいるということだけ銘記したい。
- アーティスト: 田中希代子, ワルシャワ・フィルハーモニー交響楽団, グジニスキ(ズジスワフ), ショパン
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2006/02/22
- メディア: CD
2006年のものに改めました。
2000-09-05 23:38
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