●国宝興福寺仏頭展 10 sept 2013 [■museum]
藝大美術館で始まった「国宝興福寺仏頭展」を観に行く。
興福寺東金堂の本尊仏頭(白鳳時代 至山田寺)と、守護神「木造十二神将立像」(鎌倉時代)、「板彫十二神将像」(平安時代)が揃い、おなじく白鳳仏として調布深大寺所蔵の「銅造釈迦如来倚像」が陳列されている。
仏頭の前に配された木造十二神将のリアリティさは、東大寺の戒壇院四天王立像(天平時代)に比すものであり、その猛々しい精神性は鎌倉期の戦乱を経た仏師の心象でもあるといえるだろう。伐折羅大将立像のまさに止めを刺さんとする甘さの微塵もない怒りの表情は、慈悲を湛える仏の姿とはまったく異なり、現代性を帯びた宗教の一断面が表出されている。
われわれは奈良の仏教美術に対して安寧のみを求めるが、政治的な側面をもった時代精神をも読みとく必要がある。美的対象にばかり堕する、死んだ精神性には何の意味もないのだといえよう。仏と神将の併存から読みとくべきことは多い。
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