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●バッハ「マタイ受難曲[日本語演奏]」   samadi 30 mars 2013 [■Cinéma et Musique]

東京バッハ合唱団によるバッハの「マタイ受難曲」日本語演奏を紀尾井ホールで聴く。

日本語訳でおこなわれるバッハということで演奏前はかなり違和感を持っていたのだが、序曲の合唱から日本語としてこなれ且つ荘厳な言語空間が構成されていることに圧倒された。この曲の指揮者でもあり訳者でもある、大村恵美子さんの長年に亘る作業が日本語としての完成度の高さを物語っている。何度も聴いてきたマタイ受難曲であるが、一つ一つのエピソードがドイツ語で語られるせいであろうか、ドイツ語の演奏と日本語で理解する間にコードの読み替えをすることでいまひとつ感情移入が出来ていなかった。それがこのたびの大村恵美子さんの日本語訳を聴くことで、バッハの語るキリストの受難が直接我々に語りかけて来るのである。

39番のアリア
木村:訳
憐れみを 主よ
この 涙の ゆえに
 見給え
 ここに 胸も 目も 泣きぬれ
 み前に あるを

杉山好:訳
憐れみたまえ わが神を
したたり落つるわが涙のゆえに
 これを見たまえ 心も目も
 汝の御前にいたく泣くなり
 憐れみたまえ 憐れみたまえ

礒山雅:訳(『マタイ受難曲』 東京書籍)
憐れんでください、神よ
私の涙のゆえに
 ご覧ください、心も目も
 御前に激しく泣いています
憐れんでください、神よ
私の涙ゆえに



このアリアは何の問題もないではないか。学術的なドイツ語解釈ではなく、バッハの音楽に日本語としてしっくり合うのは木村さんの訳といえよう。

イエスの死の場面。イエスが「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」(わが神、なんぞわれを見棄てし)
この発言の後、イエス(バス)の渡辺明さんは楽譜を抱き、頭を垂れ瞑目するかのようにしていた。このような演奏も初めてであり、深い信仰性が見られた。


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