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●アンドラーシュ・シフ 「平均律クラヴィーア曲集」(バッハ)演奏会  dimanche 13 fev,2011 [■Cinéma et Musique]

四谷の紀尾井ホールで、アンドラーシュ・シフのJ.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集」(第2巻全曲BWV870-893)を聴きに行く。(17:30開場 18:00開演)

グレン・グールドとスビャトスラフ・リヒテルの「平均律」を聴き比べて、どちらが自分に合うかという衒学的な厭らしい趣味をもつ人々が居るが、それよりコンサート会場に足を運んで、実際の「平均律」を聴く快楽がまず優先されるべきだということがよく分かる。終演ちかくの、「濃密な疾走感」とでも言いたくなるような充足した演奏は、CDには生み出せない一体感に溢れ、ペダルを使わないシフの力量に触れたことの幸福を痛切に感じる。

1722年に出来た第1巻に対して、1740年代に成立した第2巻は1巻前に作られたものもあり、20年を越える通時的延差がそのまま曲の性格に影響するのではないかという短絡は不要で(本当のことを言えば、300年前の音楽的エピステーメーを云々する必要もなく音楽的に無知だからだが)、シフの演奏に惹き込まれ、バッハの音楽に陶酔する。そして、モーツァルトやベートーヴェンのピアノ・ソナタや協奏曲、あるいはショパンのように強い物語性に立脚したロマン的作品に対し、音の純粋性に対自する完結した作品で至高の域に達するバッハの偉大さにあらためて気付かされる。

シフは何故第2巻を選んだのか。どうしても第1巻を聴きたくなるではないか。

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スタインウェイ。

いつもは冷静なBくんが、明日からの自分の変化をみてくれとばかりに雄弁家に変容し興奮していた。実演者に与える影響力は大きい。


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