●「インビクタス 負けざる者たち」 vendredi 12 fev,2010 [■Cinéma et Musique]
クリント・イーストウッド監督「インビクタスINVICTUS 負けざる者たち」を観る。
ネルソン・マンデラ大統領が、1995年第3回ラグビーワールドカップ南アフリカ大会にいかに関与したか、南アフリカのアパルトヘイト政策の人種差別がどのようなものであるか、ぼんやりと浮かんでくる。(つまりだめじゃんということ)
しかし所詮娯楽映画マンデラが27年間どのような拷問に遭ってきたか1コマも描かれていない。それでもモーガン・フリーマン扮するマンデラの口から「寛容=ジェネロジテ」を告がせるとは、現実の想像力の枯渇した観客には理解できないだろう。
マンデラがいつもラグビーのことを考えていたんじゃなかろうし、白人が黒人の解放(政策の変更)を概念的に認めていたわけではなかろうことは明白だ。
映画では弱小国南アが奇跡の優勝を飾ったかのように描かれていたが、ラグビーを知らないひとには通るかもしれないが、普通にラグビーを知っていればスプリングボクスがそのように描かれることが不思議でならないだろう。
しかし、1995年南アフリカ大会といえば、南アフリカの優勝でも、ロムーの強力な突破力でもなく、「145-17」である。太田GMを始め薫田、桜庭、ラトゥ、梶原、堀越、村田亙、平尾、増保、元木、吉田義、松田……(今泉も入れたほうがよいのだろうか)、時代を築いた錚々たるメンバーでも世界との差は如何ともしがたい。日本ラグビー界の暗渠は長いものになってしまった。
ネルソン・マンデラとフランソワ・ピナール
1995年6月24日エリス・パーク
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