■「放射線を知る」~放射性セシウム samedi 30 juin 2012 [■Pensée]
「放射能を知る」シリーズ「農業生態学における放射性セシウムの動態」という題で、東大大学院農学生命科学研究科・根本圭介教授のお話を聞く。氏は稲の生態の専門家であり、原発事故により放出された放射性セシウムの影響などという愚かなことはまったく素人であったという。昨年秋のの米の放射性物質調査で検出限界以下の数値となり終息に向かうかと思われたのだが、9月二本松市で玄米から500ベクレルの数値が出て大問題となっているというのである。
■イネと稲作の生態的な特殊性
・イネは水生植物として、養分吸収をふくめた生理的な仕組みが特殊化している
・水を蓄える水田生態系そのものが、物質循環にかんして独自の特徴を持っている
・畑作のチェルノブイリ事故の類推だけでは解決できない独自の問題がある
1.イネのセシウム吸収は品種によって違うのか?
2.放射性セシウム吸収のおける土壌の重要性
・セシウム添加した褐色森林土で育てたイネは、同じくセシウム添加した灰色低地土のイネの8倍から10倍のセシウムを吸収
・灰色低地土はセシウムを強く吸着し、その結果イネがセシウムを吸収しにくくなっている
3.規制値レベルのセシウムを吸収したイネの特徴
・二本松市の500ベクレルの玄米がとれた水田は山間地の谷地田
・盛夏にセシウムを集中して吸収している。
①夏季に水田土壌なかの有機物の分解が進み、多量の放射性セシウムが放出されそれをイネが吸収
②夏季に山林の落ち葉の分解が進み、放射性セシウムが放出、潅漑水が水田に流入し吸収
4.土壌からのセシウム吸収と水からのセシウム吸収
・セシウムはカリウムに似た性質でイネに吸収されやすい
・福島原発から遠い地域の玄米で80ベクレル(土壌は160ベクレル)という数値がでる。郡山の土壌を用いた試験で、60000ベクレルの土壌で栽培して80ベクレルの数値が出る。→水耕による放射性セシウムの摂取の異常な高さ
5.カリウムによるセシウム吸収の抑制効果
・カリウムを与えるとセシウムの吸収は10分の1程度になる
6.農業生態学の中の放射性セシウム
・セシウムが付着した葉を湯、硝酸で洗浄しても5%も溶出できない。山林の落ち葉についたセシウムは残留しているということ
7.福島県伊達市で試験作付
●放射性セシウムが長期に亘って山林から供給されることになり、福島の稲作は基準値(100ベクレル)を大幅に超える恐れがある。半減期30年というスパンは当然考慮に入れなければならないだろう。そのなかで安全な稲を継続して微視化して行かなければならない。原子力の根本的な危険性ならびに東京電力の犯罪は計り知れない。
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