●大森博写真展「グランド」 samedi 28 avril 2012 [■泥味亭]
新宿御苑前の蒼穹舎に、大森博写真展 『 「グランド」 Fukushima Schoolyard 』を見に行く。
東京電力福島第一原子力発電所事件(会社の安全無視の設備事件であり、震災を起因となす事故ではない)で放射能の被害にあっている故郷郡山を、大森さんが通った小、中、高校を巡って撮影している。
撮影は大森さんの個人的体験であるが、放射能への恐怖と批判的心象は見る側すべての普遍的言説となるのである。
大森さんは以前カラーフィルムで撮っていたが、ネパールで農作業をする人たちの姿は充実し親和性に溢れている一方、カラーの粗い粒子でエッジを利かせ貧困を想起させてもいた。今回はモノクロで撮影され、フォーカスを淡くすることによって姿の見えない放射能の不安を表している。
削り取った表土を学校の敷地内に集積せねばならない生活と、無生物であり放射性物質の所有者ではないという会社、裁判所の論理はどちらが優先的であるか、真理に対して盲目であり欺瞞な権力・資本主義システムはいずれ破綻せねばならない。
コメント 0