■「三井寺」「阿漕」 demanche 12 juin 2011 [■能狂言]
観世九皐会六月定例会(矢来能楽堂)
能「三井寺」(シテ方・中所宜夫)、「阿漕」(シテ方・坂真太郎)
「三井寺」は、子どもを掠われたことによって狂った女が三井寺で息子と会う有名な作だが、清水寺での静かな狂女の下居姿は、東日本大震災で子を失った現代の女性たちの耐え忍ぶ姿と重なり、悲痛な様を浮かび上がらせた。終演は子どもと邂逅するのだが、子どもを失った母親が狂女とまでなる哀しみは世阿弥の時代でも変わることはない。演目の間だけでも哀悼の想いが惹起されたであろうか。現実が悲痛であることもあるのだ。
中所師の凛とした狂女の振舞いは美しいものだった。
xperia
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