SSブログ

■ピアノの音      jeudi 23 decembre 2010 [■T]

先月Bくんがスタインウェイを分解メンテナンスに出した時に、調律師の方に聞いた「純正律」(不等分音律)というピアノの音律が頭から離れない。

今日ピアノが調律されている「等分平均律」は、1オクターブを強制的に12等分してある(1オクターブを1200セント、全音200セント、半音100セント)。それに対し、ピタゴラスの音階、1絃琴の支柱を動かし弦長の半分にすると1オクターブ上がる(1対2のときは8度の音程が得られる)、おなじように2対3の時5度、3対4の時4度の音程が得られることが分かり、5度を重ねて全音階の音が得られる。13回めで基音と近い音になるが、最初の音より24セント高くなってしまい、その差をピタゴラス・コンマと呼ぶ。12すべての音がきれいな数字で現れずズレルところからピアノの音律の微妙な調整が必要となる。

   コンマ=(3/2)12乗×(1/2)7乗=531441/524288=24セント

それでは調ごとに音階構造、和音が変わってしまうので、実用的に妥協したのが「等分平均律」ということになるのだろうか。しかし、単純に12等分した平均律ではC基音のCシャープとDフラットがズレるにも拘らず一つの音にされることになり、音が濁るのだそうだ。

このことは、バッハの「平均律クラヴィーア」でも(だからこそ)、問題となって来る。これ以上は門外漢甚だしい僕には無理なことなのでやめるが、調律師の方によると不等分音律で調整したピアノはそれは美しい音なのだそうで、「平均律」といえばリヒテルでなくてはいけないと言うBくんでも、グレン・グールドに純正に調律されたピアノで「平均律」を弾かせたら如何ばかりかと陶然と語るのだった。

article_deco-noel.jpg



*これに関して読んだ本
●橋本絹代 『やわらかなバッハ』 春秋社 2009年 (不等分音律で調律されたピアノの魅力が伝わってきます)
●芥川也寸志 『音楽の基礎』 岩波文庫 1971年 (僕はここから始めないといけない)
●アドルノ 『音楽社会学序論』 平凡社ライブラリー 1999年 (小林秀雄より千倍良い)
●岡田暁生 『音楽の聴き方』 中公新書 2009年 (フルトヴェングラーとトスカニーニについてのアドルノの表層的ではあるが分析が分かりやすい)
●髙木裕 『調律師、至高の音をつくる』 朝日新書 2010年 (読む必要無し。多少とも音を造る実際が窺えるかと思ったのですが、平均律に関する言及全くなし。何のための調律なのか)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。