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■三月堂・月光菩薩を観に行く    mardi 2 novenbre 2010 [■旅]

奈良東大寺で、法華堂(三月堂)月光菩薩像を観てきました。

7時の新幹線で京都へ。近鉄線に乗り換え近鉄奈良駅から、昨年上野で拝見した阿修羅像が安置されている興福寺をやり過ごし、平城京遷都1300年、光明皇后遠忌1250年で例年になく盛り上がっている「正倉院展」(奈良国立博物館)へ。平日午前にも拘わらず既に長蛇の列でしたが、平安なうちに入館することができた。

東大寺の法要に用いられた伎楽の酔胡王と迦楼羅(かるら)の面、『種々薬帳(しゅじゅやくちょう』とそれに記された五色龍歯(ごしきりゅうし)・大黄・冶葛などの薬、献物品を入れた美しく緻密な彩色がされている蘇芳地彩絵箱(すおうじさいえのはこ)など正倉院の誇る宝物に圧倒されるばかりでした。なかでも、正倉院の宝物として白瑠璃碗(はくるりのわん)とともに紹介されることが多い、「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」の貝を使った螺鈿やタイマイ・琥珀などが浮き上がらせる淡いピンクの装飾は息を呑むばかりであった。
展示しているバックには琵琶の音を流していたのだが、ボディの装飾とかけ離れた音で、雪山で白毛に覆われたライチョウと遭遇した感動とその鳴声の落差に落胆したことを思い出し、苦笑するばかりであった。

正倉院展を出た後、東大寺に向かうメインストリートの修学旅行のバカ中学生の会話、中国語の飛び交いに辟易し、堪えられなくなったので鏡池の手前で右に折れ、そのまま三月堂に向かうことにした(オバちゃんの傍若無人の会話とともに中学生のアンポンタンの会話で日本の知性がバレる)。手向山八幡宮の参道で喧騒から離れて漸く静かな気持ちになる。

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↑伸びをする鹿


三月堂(法華寺)に付くと参拝客は殆どおらず、そのまま通り過ぎるグループも一つや二つではなかったが、それもまた良し。三月堂は現在須弥壇が改修中であり、本尊の不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)は修理のため博物館工房に移されて拝観することできない。しかしその分脇立ちの、日光・月光菩薩を間近でじっくりと拝見することができた。特に月光菩薩の小さく細い指先は感動的である。合掌した手は指先がほんの少し触れているだけであり、掌は離れている。そのうえその触れ合う指は少しずれている。写実的で、菩薩(女性)の一瞬の優しい仕草が表れているようだ。これは法隆寺・百済観音の水瓶を持っている左手の小指が伸びていることにも通じ、繊細な表現が妙に艶めかしく優美な女性性を感じさせる。

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月光菩薩を拝観し、大仏殿の裏を通って戒壇院に行く。多宝塔の周りの四天王を、増長天、広目天、多聞天、持国天の順に観たのだが、どれも素晴らしく二周してしまった。しかし、その像と反対にこの院の精神性の低さには驚かされた。多聞天の安置されている隅には事務用のスチールロッカーが置かれており、なにを考えているのかあきれるばかりだ。また、江戸期の改修で大工が触れた手足の脂分が変質して天井に手形が浮き上がっていると、先日NHKで放送されたのだと、自ら話しかけて来た係の人には(僧侶ではあるまい)、憐憫を覚えた。
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大仏殿の中門から回廊部分は曲線に接続している。何故?

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