■筑紫哲也さん vendredi 7 nov,2008 [■追悼]
筑紫哲也さんが亡くなりました。
その不在がこんなにも大きな衝撃だったとは……。「こちらデスク」から始まって、30年もの長きに亘り筑紫哲也というジャーナリストの発言を我々は指標としていたのだ。古谷綱正氏や入江徳郎氏などではなく、新しい戦後のアメリカを知っている特派員の観点でモニュマンは切り取られた。報道の視点からでは、あるいみ小田実や本多勝一と同じであった。ベトナム戦争、アメリカの大統領選挙(ウォーター・ゲート事件)など、対米政策に潜む日本政府の欺瞞を暴きだしていた。
1984年だったか朝日ジャーナルに「新人類」と謳われたとき、時代の価値観が変わった。
ある番組で、軍人は戦術を考えるものだ。しかし政治は外交で平和を構築していくのだという主旨のことを言われた。まだ中学生だった僕は、大学生になるまで、この言葉や論理を幾たび友人に吐いたことか。
「週刊金曜日」によるプロフィール
筑紫哲也
どうして私たち日本人はこんなに既成事実と権力に弱いのだろう――という嘆きがあらためて拡がっている。この二つの組み合わせが如実に現れているのがイラク出兵と憲法の扱われようだ。が、この弱さが構造的なものだとしたら、他のどんな問題についても同じことがこれからも起き続けるのだろう。だから問題の核心にあるのは「文化」だと私は思う。人間の精神的生活にかかわるものの総称としての――。そこに目を向ける雑誌でありたい。
自我作古
世紀末的「閉塞感」が人々を覆い、制度疲労から起きる危機的状況がこの国を揺さぶる。固定観念にとらわれない独自の視点で、日々のニュースを問う。
略歴
1935年大分県生まれ。TBSテレビ系「筑紫哲也NEWS23」のキャスター編集長。朝日新聞社時代、政治部記者や米軍統治下の沖縄特派員などを経て、『朝日ジャーナル』編集長、編集委員を務める。著書に『ここから日本はよみがえる』(共著、日本経済新聞社)、『「志」の開拓者たちよ!』(共著、日本経済新聞社)、『ニュースキャスター』(集英社新書)など、近著に『このくにの行方 対論・筑紫哲也「ニュース23」』がある。
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